床倍率検討の実際
Y邸1階の床倍率の検討を行います
前提条件
-
設計する建物(Y邸)の住宅性能表示
耐震等級2、耐風等級2 -
建物が受ける荷重と地域特性
・地震関連 屋根は瓦葺き 積雪は一般地域 地震地域係数(Z)は1.0
・風関連 地域の基準風速Vo=34m/s
1階床面積=42m2、2階床面積=63m2
K2:1.3+0.07/Rf(Rf が0.1 を下回る場合は、2.0 とする。)
Rf:2階の床面積の1階の床面積に対する割合
Z :令第88 条に規定する地震地域係数
▲ページトップへ
耐力壁線設定と格付け
耐力壁線を以下のように設定します。
各耐力壁の格付けを次のチェック項目で実施し表にまとめます。
◎:対象とする通りの存在壁量(準耐力壁を含むことができる。)通り芯の長さの60%以上かつ
400cm以上
○:各階各方向の最外周壁線で上記の◎の条件を満たしていない場合
×:上記の◎と○のいずれの条件にも満たない壁線
※耐力壁線間隔が8m以下であることを確認
各耐力壁線の存在壁量を求めます。(1-1壁量計算で使った表を参照)
品確法では、準耐力壁も耐力壁同様に水平力に対する抵抗要素とみなされます。よって存在壁量の計算では、この準耐力壁も加算することができますが、本問では耐力壁だけで存在壁量を計算しています。
▲ページトップへ
壁間距離・奥行きと係数α
次に表1-15、表1-16、図1-22を参考にαの値を決めます
① 2階建の1階
② ◎の耐力壁に両側をはさまれた床区画
③ 2階の耐力壁線がa通り〜e通り間にない
▲ページトップへ
必要床倍率の計算
∵①耐震等級 等級2
②一般地域
③1階部分(2階の床面)の検討を行っている
④屋根は瓦
∵①耐風等級 等級2
②基準風速 34m/s
以下、他の各通りについて表を使って必要床倍率を計算します
▲ページトップへ
存在床倍率の計算
下図のように1通りから7通りまでは表1-20のNo.3(存在床倍率1.0)の仕様で床を組み、7通りから10通りは表1-20のNo.6(存在床倍率0.7)の仕様で屋根を組むことにします。
表1-20 屋根・床・火打構面の仕様と存在床壁量(抜粋)
するとx方向の存在床倍率は次の式で求めることができます。
a〜e通り間
e〜h通り間
またY方向の4〜7通り間の存在床倍率は次の式で求めることができます。
*ポイント:
異なる床が直列方向に並んだ場合の存在床倍率は加乗平均で計算します。また並列方向に配列された場合の存在床倍率では小さい方の床倍率を採用します。
この結果を必要床倍率と併せて表にすると次のようにまとめることができます。
上記表で存在床倍率の値が必要床倍率を上回ると水平力を耐力壁線上に伝えてやれることが確認できます。
▲ページトップへ