基材である合板の表面に高度な印刷技術によって自然の美しい木目や色柄を再現した化粧シートを貼り合わせた建材製品です。
(用途に応じてMDFやパーティクルボードを基材とした製品もあります)
特長
- 使われる場所によって好みのデザイン(木目調、抽象柄)が自由に選べます。
- 経済的で使い勝手に優れています。
- 表面保護のための仕上げ塗装が施されているため、お手入れが簡単です。
- 日曜大工の材料として家庭用工具でお手軽に施工できます。
プリント合板の歴史
当初はグラビアオフセット印刷機により合板に直接印刷を施したダイレクト方式によるプリント合板として誕生しました。その後、昭和30年代後半に高性能の合成樹脂や接着剤、原紙の開発に加えて高度の印刷技術の発達により、現在の印刷化粧紙を合板に貼り合せたラミネート方式によるプリント合板が開発されました。
ラミネート方式によるプリント合板は、ダイレクト方式と較べ、安定した色調と印刷の繊細な表現に優れるとともに、課題とされていた表面の干割れの問題を解決しました。また工程の短縮と小ロットから大量生産まで幅広い需要への対応を可能とし、高度経済成長期には折からの建築ブームもあって長足の進歩を遂げ、特殊合板の主流をなすようになりました。
最近では、調湿性能や防湿性能、抗菌性能などを備えた化粧シートやホルマリンを分解する樹脂などが開発され、様々なニーズと生活環境に対応した機能性のある商品が誕生しています。
プリント合板の製造方法
ラミネート方式
印刷紙
◇プレコート印刷紙:表面保護の樹脂塗装が施された印刷紙
◆アフターコート印刷紙:樹脂塗装のない印刷紙(化粧板の製造段階で塗装を施す)
カラー合板について
カラー合板は、プリント合板が木目模様や抽象柄をデザインとした化粧合板であるのとは対照的に、単色系のシンプルでバリエーション豊富な化粧合板です。
当初は台板合板に顔料を含む塗料を直接塗布して作られていましたが、やがてプリント合板と同様にラミネート方式で製造されるようになりました。
JAS規格について
JAS(日本農林規格)の特殊加工化粧合板に分類され、表面性能の基準は用途に応じてF、FW、W、SWの4つのタイプに分かれています。
JAS(日本農林規格)の特殊加工化粧合板の分類
タイプ | 主な用途及び品質 |
---|---|
F | テーブルトップ、カウンターなどの高度の耐久性が必要な部分に使用可能な品質を有しているもの |
FW | 建築物の耐久壁面、家具などの通常の温度・湿度の変化、衝撃性、摩耗性などに優れた品質を有しているもの |
W | 建築物の一般壁面や家具、建具など通常の使用に耐えうる品質を有しているもの |
SW | あまり耐久性を必要としない建築物の特殊壁面や直接手に触れることのない天井などで使用可能な品質を有しているもの |
プリント合板は主に壁材や天井材、建具の表面材などに使用されることが多く、その多くはWタイプ、SWタイプに該当します。
Wタイプの理化学性能試験
表面性能の試験項目 | |||
---|---|---|---|
寒熱繰返し試験 | 耐水性試験 | 摩耗試験 | 退色試験 |
特殊加工化粧合板の表面性能以外の主なJAS物性試験として、「平面引張り試験」、「ホルムアルデヒド放散量試験」、「浸せきはく離試験」、「含水率試験」などがあります。
また、JAS物性試験以外に日本プリント・カラー合板工業組合独自の規格として、「耐セロハンテープ試験」があります。
(この他に傘下企業の中には自社規格を設けて様々な用途に対応しているところもあります)
その他
プリント合板のなかまとして「オレフィン化粧合板」、「塩化ビニール合板」、「ポリエステル化粧合板」や「メラミン化粧合板」などがあります。